混合ワクチンによる感染症予防

目に見えない病原体は、いつ・どこで感染するかはわかりません。
特に若齢で、まだ免疫が発達していない子犬・子猫の場合、発症すると死亡率の高い感染症もあります。しかし、こういった感染症の中には、ワクチン接種によって、未然に発症あるいは重篤化を防ぐことができるものもあります。混合ワクチンは、狂犬病ワクチンとは違い、飼い主さんの任意になっています。
混合ワクチンに対する知識を身につけ、その子にあった感染症予防を心掛けましょう。


ワクチン接種の時期

子犬・子猫は初乳(生まれてすぐのお乳)を飲むことで、お母さんの免疫抗体(移行抗体といいます)をもらい、感染に対する抵抗力を身につけます。この移行抗体は2カ月齢ごろから消失しますが、その時期には個体差があり、同じ2カ月齢の子でも、感染症に対する抵抗力を全く持たない子もいれば、移行抗体がワクチンに含まれる病原体をやっつけてしまい、ワクチンをうっても効き目がない子もいます。そのため、初年度のワクチンは2カ月齢、3カ月齢での2回接種となります。接種時期によっては3回接種の場合もあります。翌年、1年3カ月齢での追加接種をし、その後は当院では2年に1回の接種を行っています。


ワクチンで予防できる病気

当院で扱っている混合ワクチンは、犬では5種と7種、猫では3種と5種となっています(下記参照)。
いずれのワクチンを接種するかについては、
飼育環境などを考慮した上で、その子にあったものを選択していきます。

5種混合ワクチン 7種混合ワクチン
・犬ジステンパー
・犬伝染性肝炎
・犬アデノウイルス感染症
・犬パラインフルエンザ感染症
・犬パルボウイルス感染症
・左記5種類
・レプトスピラ2種

※レプトスピラにはインフルエンザのように様々な型があり、
7種ワクチンにはそのうち発症の多い2つの型の抗原が入っています

3種混合ワクチン 5種混合ワクチン
・猫ウイルス性鼻気管炎
・猫カリシウイルス感染症
・猫汎白血球減少症
・左記3種類
・猫白血病ウイルス感染症
・猫クラミジア感染症

※白血病ワクチンを接種する際は、必ず抗体検査を行い、白血病ウイルスに感染してないかどうかを確認した上での
 接種となります。ワクチンは感染を防ぐためのものですので、感染している猫に接種しても効果はありません。
※白血病ワクチンに関しては1年に1度の接種となります。


ワクチン接種後の注意事項

・免疫が完全に出来上がるのは2回目のワクチンの後2~3週間してからですので、それまでは散歩は控えましょう。
・ワクチン接種当日は激しい運動は避けてください。シャンプーは2~3日空けましょう。
・ワクチン接種後に熱が出る、注射部位を痛がる、元気・食欲がなくなるなどの症状がみられることがあります。
 通常は1~2日で回復します。
・まれにアナフィラキシーショックという強い反応が見られることがあります。
 顔が腫れる、痒がるといった症状から体温低下、震え、ショック状態に至るまで反応は様々です。
 このような異常が見られた場合は直ちに病院に連絡してください。